【まとめ】現役銀行員・証券アナリストが教える新NISA
目次
知識編
第一章 新NISA「7つのルール」
①「1,800万円までお金が入るハコ」が全員もらえる
②ハコの中で増えたお金には、税金がかからない(売却益・配当金)
③ハコの上限1,800万円は「入れたお金」でカウント
④ハコの中身は出し入れ自由
⑤ハコに入れられるお金は年間360万円(つみたて投資枠・成長投資枠)
⑥上限1,800万円のうち「成長投資枠」は1,200万円まで
⑦今までの「NISA」とは別のハコとして扱う
第二章 新NISAのメリット ベスト5
①非課税保有期間が無期限に
②投資枠が大幅拡大
③枠の再利用ができる
④年間の枠は使い切らなくてOK
⑤これまでのNISAとは別の扱い
第二章のポイント
2024年からの新NISAはこれまでのNISA制度と比べて「超大幅なアップデート」。
実践編
第三章 2023年に取るべき行動
大まかな投資方針〜旧NISAを使うほど、将来の選択肢が増える〜
優先度:高 つみたてNISA
優先度:中 ジュニアNISA
優先度:低 一般NISA
「NISAの枠を超えた投資」はなるべく控える
第四章 2024年からの動き方
・年内に枠を使い切らないと…という心配不要
・基本的に枠(ハコ)の外で投資しない
・お金が必要になったら新NISAから資金を切り崩す
「投資額1800万円」が最終的なゴール
第五章 どの資産に投資するか、「投資目的」により最適な投資先は異なる
多少のリスクは覚悟し資産を増やしたい人
①eMAXIS Slim米国株式(s&p500)
②eMAXLS NASDAQ100インデックス
③iFree日経225インデックス
とにかく大事な資産を守りたい人
①SBI・全世界株式インデックス・ファンド
②たわらノーロード バランス(8資産均等型)
お金を増やすだけでなく今を楽しみたい人(株主優待)
優待株は分散投資したほうがリスクを抑え、もらえる優待品が増える
第五章ポイント
①「アクティブファンド」は基本的に手を出さない
②「生存バイアス」を知る
③最も効くべきは「利害関係のないプロ」の話
新NISA制度のコンセプト
国:国民にどんどん投資してもらい、経済を潤わせてほしい。そして国民に豊かになってもらい投資をもっと当たり前にしたい。
→「投資でも受けても税金がかからない」制度。
新NISA「7つのルール」
①「1,800万円までお金が入るハコ」が全員もらえる
「一生使えるハコ」が一人一個、ハコには1,800万円まで入る。子どもは18才になったらハコがもらえる。
このハコには1,800万円までの株・投資信託を入れることができる。
⚠投資信託:「お金を預けてくれたらあなたのかわりにプロが運用します」という商品
②ハコの中で増えたお金には、税金がかからない(売却益・配当金)
ハコの外でお金を増やしてしまうと、税金がかかる。
売却益:100万円の株が120万円に上がったので120万円で売り「20万円分の利益が確定」した→税金がかかる。
200,000円✕20.315%=40,630円
売却益=キャピタルゲイン
配当金による利益=インカムゲイン
投資信託の利益還元=分配金
③ハコの上限1,800万円は「入れたお金」でカウント
ハコの中でどれだけお金が増えても、ハコの上限は変わらない。
例
100万円の株をNISAのハコに入れた。入れられる金額は残り1,700万円。
〜1年後〜
株が120万円まで上がり、3万円の配当金を受け取った。
ハコの中身は123万円。でも、ハコに入れられる金額は残り1,700万円。
株や投資信託を勝ったときの金額でカウントされる。
金融庁ワード:「簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能)」
簿価=買ったときの価格 例100万円
時価=値上がり・値下がり後の価格 例120万円
④ハコの中身は出し入れ自由
ハコの中身を取り出すと上限が復活する。
例
100万円入れたうち、50万円を売った。
1,800万円−50万円=1,750万円まで新たにお金を入れることができる。
金融庁ワード:「枠の再利用が可能」
⑤ハコに入れられるお金は年間360万円(つみたて投資枠・成長投資枠)
ハコの上限は1,800万円だが、1年間で360万円までしか入れられない。360万円の内訳は「つみたて投資枠120万円」「成長投資枠240万円」
つみたて投資枠=「ずーっと持っておくのにベストな資産」「長期投資に適するもの」
・年間120万円まで投資できる
・長期投資に適した投資信託が購入可能
・比較的リスクもリターンも低い商品
ずっと持っておくのに適さない投資=株の一点張り
全資産を一つの株に一点集中させるのは非常に危険な行為。
この方法で利益を大きく増やせるかもしれないけどその一点が外れると一気にお金を失う投資というよりギャンブル。
ギャンブルではなく資産を守るための投資は分散投資。
「つみたて投資枠」=守りの投資「資産を守るために分散投資ができる商品」
例:たわらノーロード バランス(8資産均等型)
日本の株式
日本の債権
先進国の株式
先進国の債権
新興国の株式
新興国の債権
日本の不動産
先進国の不動産
普通にひとつひとつ買おうとすると大変。
個人で債券を買うのは手間。不動産も買おうとすると土地一つで数千万円は必要。
でもこの「たわらノーロード」を10万円分買うと自動的に1/8ずつ資産が分散される。
このようにいろんな資産を分散できる商品(資産の積み合わせセット)を「投資信託(ファンド)」と言う。
分散投資の例
1,000万円で1社買うよりも100万円で10社買う
100万円で10社買うよりも10万円で100社買う
10万円で買うよりも1万円で1,000社買う
1社の株だけを買うのではなくなるべく多くの株を買う。仮に投資先の1社が倒産しても資産が0になることはない。
・日本の株だけを買うよりも世界中の株を買う
・株だけを買うよりも株・債権(国債)・不動産(土地や建物)を買う
これも分散投資。
・日本の経済全体が落ち込んでも海外株が上がれば資産を守れる
・世界の経済全体が落ち込んでも、債権や不動産が上がれば資産を守れる
成長投資枠 攻めの投資
・年間240万円まで投資できる
・一般的な株式・投資信託が購入可能
・比較的、リスクもリターンも高い商品
投資信託でも比較的リスクが高い商品がある。
例:テーマ型投資信託
・IT関連企業株ばかりを集めた投資信託
・金融関連企業株ばかりを集めた投資信託
・エネルギー関連企業株ばかりを集めた投資信託
「業界一点張り」になってしまう。
大きく儲かる可能性もあるがその分リスクも大きくなってしまう。だから長期間持つことが前提の「つみたて投資枠」ではなく、収益を重視する「成長投資枠」で買うことができる。
⑥上限1,800万円のうち「成長投資枠」は1,200万円まで
・つみたて投資枠=ローリスク・ローリターン、長期投資向け、上限なし
・成長投資枠=ハイリスク・ハイリターン、短期〜中期投資向け、上限1,200万円まで
⑦今までの「NISA」とは別のハコとして扱う
旧NISA
つみたてNISA800:長期・分散投資を目的とした制度
一般NISA600:株など一般的な投資を広めるための制度
ジュニアNISA400:子どもの資産形成を進めるための制度
第三章 2023年に取るべき行動
大まかな投資方針〜旧NISAを使うほど、将来の選択肢が増える〜
将来の選択肢を増やす一つが「2023年に旧NISA制度を使う」こと。
優先度:高 つみたてNISA
優先度:中 ジュニアNISA
優先度:低 一般NISA
「NISAの枠を超えた投資」はなるべく控える
つみたてNISA
・年間40万円までの投資が非課税となる
・非課税期間は投資してから20年間
・投資できる商品は一定の基準を満たした投資信託
ジュニアNISA
・子ども1人あたり年間80万円までの投資が非課税となる
・18才未満の子どものみ利用できる
・非課税期間は子どもが18才になるまで
一般NISA
・年間120万円までの投資が非課税となる
・非課税期間は投資してから5年間
・投資できる商品は一般的な投資信託や株
・つみたてNISAと併用できない
2023年の動きおすすめ
①ふみたてNISAをフル活用
(40万円、非課税期間20年)
②余裕があればジュニアNISAをフル活用
(80万円✕子どもの人数、非課税期間1〜18年)
新NISAのハコと旧NISAのハコは別のハコとして扱われる。
攻めの投資
「ある程度のリスクを抑えつつ」資産を増やす方法
投資信託選ぶポイント
①しっかりリターンを得られる
②リスクが極端に大きくない
③信託報酬(持ち続けるための手数料)が安い
→2024年からのNISA制度は基本長く持ち続けることを目指す。なので毎年払う「信託報酬」は安いほど助かる。
①eMAXIS Slim米国株式(s&p500)
【商品性】
「全米全体の株価と連動する」商品で、米国全体の株価が上がれば価値が上がる。
米国企業を代表する約500の企業が採用されている「S&P500」という株価指数がある。
この投資信託は米国株に幅広く投資し、S&P500指数に連動するような仕組み。
【信託報酬】
0.0968%
楽天証券で販売する全投資信託の中で信託報酬は最安。長期保有には非常に向いている商品。
【総合評価】
長期的に大きなリターンが期待でき、かつ信託報酬が最安の超優良ファンド。
過去10年でずっと伸び続けている。
②eMAXLS NASDAQ100インデックス
【商品性】
違いは連動する株価指数で、「NASDAQ100」という株価指数に連動する。
これは「米国のNASDAQ市場に上場する企業100銘柄」からなる指数。
情報技術系の企業が多いのが特徴。
【信託報酬】
0.44%
【総合評価】
ある程度リスクをとっても高いリターンを目指したい人には良い。
短期的にみると①とほぼ同じ動きだが、長期で見ると大きく上回る。
S&P500指数「米国企業全体の株価」
NASDAQ指数「米国企業のうち最先端企業のみの株価」
長期でみると「米国企業の中でも特に成長率の高い企業を集めた指数」
ただし景気が悪いと大きく下がる。
比較的ハイリスクハイリターン型なので例えば「新NISA投資のうち20%を②に投資する」というように分散させるのがおすすめ。
③iFree日経225インデックス
【商品性】
日本を代表する企業225社に投資する商品。
「日経平均株価」とほぼ同じ値動き。
【信託報酬】
0.154%
【総合評価】
日本国内の大企業に投資する商品。日本は米国と比べて経済成長率が低いのでメインに持つには向かない。
が、①や②に100%投資すると米国一辺倒になってしまう。
なのでサブ的に③を持つという方法も。
守りの投資
①SBI・全世界株式インデックス・ファンド
【商品性】
前世会の株式に投資する商品。米国だけ不景気になってもある程度資産を守ることができる。
【信託報酬】
0.1102%
【総合評価】
特徴は分散効果。米国連動と比べると「期待リターンを犠牲にしてリスクを抑えられる」イメージ。
NISAを使ってリターンを得つつリスクもある程度抑えたい人向き。
②たわらノーロード バランス(8資産均等型)
【商品性】
日本の株式
日本の債権
先進国の株式
先進国の債権
新興国の株式
新興国の債権
日本の不動産
先進国の不動産
の8資産に均等に投資する商品。
「株式型」の投資信託と比べて大きなリターンは期待できないが、どんな状況でも比較的安定して資産を守れる。
【信託報酬】
0.154%
【総合評価】
安定性重視の商品。
好景気→株式や不動産は上がる⇔債権は下がる
不景気→株式や不動産は下がる⇔債権は上がる
「どんな局面でも資産価値が下がりにくい」が売り。
このようなバランス型商品のデメリット
・後継機で資産を増やせるチャンスを逃す
・資産が下がりにくいと言っても下がる場合がある(ウクライナ侵攻)
用語集
投資信託(ファンド)=いろんな資産の詰合せセット